NickとMarikoのウィスキーライフ 我が家のウィスキーの楽しみ方

ウィスキーはどうやってできる?原料は?50ヶ所のスコットランド蒸留所から学んだ製造工程を知ってウィスキーの個性を楽しもう

初心者ガイド


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ウィスキーってどうやって作られてるかを知ることで味わいへの理解も深まります。

ウィスキーができるには大麦から、発酵・蒸留・熟成を経て、ようやく一本のボトルになるまでには最低でも3年かかかります。

私たちは国内とスコットランドの蒸留所、60ヶ所以上を巡り、ウィスキーの味わいの違いなどを工程からも感じることができました。

国内でも蒸留所見学で知ることもできますが、ウィスキーを深く楽しむために基本的な製造工程を知っておきましょう。

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ウィスキーの原料とできるまでの流れ

スコットランド蒸留所見学の最初に、必ず聞かれるのは、

「ウィスキーは3つの材料からできています。何か知っていますか?」

です。

その3つとは、大麦malt、水water、酵母yeastです。

その3つの原料を次のような流れでウィスキーは作られます。

① 製麦(モルティング/Malting)
→原料の大麦に水をかけ発芽させる工程、発芽させることで大麦麦芽にし、甘みを引き出します。

② 糖化(マッシング/mashing)
→モルティング後、乾燥させたモルトに温かい水と混ぜ、温かい水と混ぜて麦汁(ウォート)という甘い汁を作ります。

③ 発酵(ファーメンテーション/Fermentation)
→麦汁に酵母を入れて発酵させて、アルコール発酵させた、Washを作ります。

④ 蒸留(ディスティレーション/Distillation)
→Washを蒸留器で蒸留し、アルコール度数を高め、透明の原酒を作ります。

⑤ 熟成(マチュレーション/Maturatino)
→蒸留でできた原酒を樽に入れて、3年以上熟成します。

⑥ 瓶詰め(ボトリング/bottling)
→熟成したウィスキーをブレンダーさんがブレンドしたものを、ボトリングして完成です。

この工程はどのウィスキーも一緒ですが、作り方によって出る個性の違いについてもう少し詳しく、次に紹介します。

製造工程の詳細/ウィスキーの個性とは?

工程は同じですあが、製造工程の小さな違いでもウィスキーの個性が出てきます。

もちろん、その場所の水だけでももちろん味が変わります。

その詳細をご紹介します。

① 製麦(モルティング/Malting)


▲モルティングで大麦を大麦麦芽を作ります。大麦麦芽になると、少し芽が出てきて、これが甘さ(糖)になります。

スコッチウイスキーの多くは、大麦を原料として使います。

収穫した大麦をそのまま使うのではなく、まず「モルティング(製麦)」という工程で発芽させます。

大麦を水に浸けて発芽させ、大麦麦芽にすることで、でんぷんを糖に変える酵素が生まれます。

発芽が進んだところで、熱を加えて乾燥させ、発芽を止めます。

このモルティングはスコットランドでは、モルトを作る会社があるようで、そこから仕入れているという蒸留所が多いです。

フロアモルティング

アイラ島などの一部の蒸留所ではフロアモルティングでモルティングされています。

参考記事:ボウモア蒸留所見学レビュー|アイラ島最古の蒸溜所!特長・場所・ツアー予約方法・詳細まとめ[写真付]

モルトを床(フロア)に敷き、水をまいて、程よく混ぜながら大麦麦芽にします。

発芽を止める/ピートとは?

大麦に水を与え、発芽してきたら、その発芽をいいタイミング止める必要があります。

できた大麦麦芽に熱を入れて乾燥されて、発芽を止めます。

▲その時、ピートと呼ばれる泥炭を使って発芽を止めることで、アイラ島などでも多いウィスキーのスモーキー感がでてきます。

泥炭はスコットランドの地下の土を掘り起こし、乾燥させたものです。

泥炭を燃やし、モルトを乾燥させる工程です。こちらも体験させてもらいました。

参考記事:ラフロイグ蒸留所見学レポ〜バッチの飲み比べを満喫〜

② 糖化(マッシング/mashing)

乾燥させたモルトを粉砕し、温水と混ぜます。

この工程を「マッシング(糖化)」といい、麦芽の酵素がでんぷんを麦汁(ウォート)へと変えます。

得られた甘い麦汁は、次の発酵工程へ送られます。

この段階ではまだアルコールはなく、甘みのある液体です。

スコットランドのモルト粉砕機(milling)の課題

マッシングの前にモルトを粉砕するのですが、この粉砕機がスコットランドではある意味課題なんだそうです。

粉砕機はほぼ1社の製品が最強らしく、買い換える必要がないため、会社が潰れてしまい、今は修理できる人も少ないという話をいくつかの蒸留所で聞きました。

参考記事:グレンキンチー蒸留所見学レポ/ローランド〜ジョニーウォーカーのキーモルトの特徴は?〜

参考記事:プルトニー蒸留所見学レポ/ハイランド〜ウィックの港町でいただくウィスキー〜

モルトを3種類のサイズに粉砕するのが美味しさの秘密

粉砕されたモルトはグリストと呼ばれます。

粉砕機で3種類の細かさに分け、いい割合で配合するのが美味しさのポイントだそうです。

粒の大きい順にハスク、グリッツ、フラワーで、網目を通して大きさの違いを見せてくれる蒸留所もあります。

温度の違うお湯

マッシュタンでは粉砕されたモルトに温かいお湯を入れ、麦汁を作ります。

このお湯も入れる温度や回数など、蒸留所によって決まっています。

麦汁だけが次の工程に行き、残ったモルトはそれぞれの蒸留所で違いますが、肥料するなど再利用しているそうです。

③ 発酵(ファーメンテーション/Fermentation)

麦汁に酵母を加えて発酵させます。

木製や金属製の大きな発酵槽(ウォッシュバック)の中で、数十時間かけてアルコール発酵が進みます。

この段階でできる液体は「ウォッシュ」と呼ばれ、アルコール度数はビールに近い6〜8%程度です。

発酵の時間や酵母の種類によって、フルーティさや複雑さが変わります。

このウォッシュを飲ませてくれる蒸留所もありました。本当にぬるいビールみたいな味わいです。

発酵槽/ウォッシュバックの種類

発酵槽は、木製とアルミ製の2種類あります。

木製が昔ながらの手法で、日本の発酵文化と同じで木にいる菌も発酵に影響するそうですが、手入れが大変なので、アルミ製が増えてきているようです。

参考記事:ロックランザ蒸留所見学レポ/アラン島への行き方〜チョコレートペアリングでの飲み比べが最高!

発酵時間による味の違い

この発酵時間が原酒の味にも大きく影響するようです。

これはカリラ蒸留所での写真ですが、色のラインのもの発酵時間と味わいとの関係を表しています。

一番左から、穀物、ナッツ、グラッシー、フレッシュ、フローラル、フレッシュフルーティー、トロピカルフルーツ、といった感じで、右へいくほど発酵時間が長いという意味です。

それぞれの蒸留所で発酵時間を決めているようです。

参考記事:アイラ島/カリラ蒸留所見学ツアーレポ〜ジョニーウォーカーのウィスキーの原酒の味わいとは?

④ 蒸留(ディスティレーション/Distillation)

ウィスキーにとって大切な工程の一つが蒸留です。蒸留器の形はウィスキーの象徴にもなっています

スコッチのシングルモルトは、ポットスチル(銅製の蒸留器)で通常2回蒸留します。

1回目の蒸留でアルコール度数を高め、2回目の蒸留でさらに精製します。

この2回目の蒸留では「初留」「ミドルカット(心臓部)」「後留」に分け、風味の核心となる中央部分だけを取り出します。

ポットスチルの形状や大きさによって、蒸留所ごとの個性が生まれます。

この工程で無色透明なニューメイク、ニューポットができます。これも蒸留所によっては飲ませてくれます。

個性ある蒸留器たち

蒸留所見学で楽しみの一つが蒸留器の形を見ることです。


▲グレンファークラス蒸留所


▲グレンフィディック蒸留所


▲グレンギリー蒸留所


▲オールドプルトニー蒸留所(丸いボール型蒸留器)


▲カリラ蒸留所(めちゃでか!)

ネックが長いもの、丸みのあるもの、初留器と2つ目の蒸留器で形が違うなど、この蒸留器によって味わいが変わっていくのだと思うと、本当に個性的で見ているのが楽しいです。

⑤ 熟成(マチュレーション/Mature)

蒸留されたばかりの無色透明なニューメイクは、木製の樽に詰めて熟成させます。

スコットランドでは法律により、最低3年以上の熟成が義務付けられています。3年以上つけたものがスコッチと呼べるようになります

熟成の過程で原酒は樽の木目から色と風味をもらい、あの琥珀色と複雑な味わいが生まれます。

使われる樽の種類(バーボン樽・シェリー樽・ワイン樽など)や熟成年数によって、味は大きく変わります。

また、スコッチでは熟成中に毎年2〜3%ほどのウィスキーが蒸発し、これを「エンジェルズ・シェア(天使の分け前)」と呼びます。

蒸留所ではその樽の香りをにおわさせてもらえるのも嬉しい体験です。

バーボンカスク

熟成する樽の種類によってもウィスキーの味わいが大きく変わります。

一番多いのが、バーボンカスク。

アメリカで作られるバーボンウィスキーを作る樽は1回しか使ってはいけないというルールがあるため、その樽をスコッチでは使うことが多いです。

比較的安く手に入るので、バーボンカスクのウィスキーが多いです。

バーボン特有の甘さがスコッチウィスキーにも多く感じられます。

シェリーカスク

その次によく聞くのが、シェリー樽。

スペインでシェリー酒を作る樽ですが、バーボンほどたくさん作られないため、樽の値段が高いため、それを使うウィスキーも高くなりがちです。

ですが、独特のレーズン感などを感じられるシェリーカスクのウィスキーはとても人気です。

ワインカスク

スコットランドの蒸留所でもフランスの会社が運営している蒸留所では、ワインカスクなども多く使われています。

個人的には、このワインカスクのウィスキーが好きですが、なかなか多くないので、見つけたら試して欲しいです。

樽の保管方法

樽の保管方法も蒸留所によって様々で、有名なのがダンネージ式で伝統的な手法です。

3段ほどに積んで樽を保管することで、熟成にいい環境を作ります。

この熟成は最低でも3年は必要なので、どうしても場所が必要です。

ラック式であれば、何段も積むことができますが、場所による温度差ができてしまいます。

⑥ 瓶詰め(ボトリング/bottling)

熟成を終えた原酒をブレンドし、アルコール度数を調整してボトルに詰めます。

複数の樽をブレンドして安定した味を作るのが一般的ですが、単一の樽だけを詰めた「シングルカスク」ボトルも存在します。

加水せずそのままボトリングしたものを「カスクストレングス」と呼び、より力強い原酒本来の味が楽しめます。

冷却ろ過を行うかどうかも、最終的な風味に影響します。

樽から直接いただくウィスキー

蒸留所のツアーによっては、樽から直接ウィスキーがいただけるツアーもあります。

まさにカスクストレングスでアルコール度数の高い、そのままのウィスキーを楽しめます。

また、ハンドフィルと言って、自分で樽からボトルに詰めて買えるサービスもありますので、そういったウィスキーを楽しむのもおすすめです。

参考記事:ブルックラディ蒸留所見学レポ〜ピートの違いとボタニスト、樽出しウィスキーなど豊富な種類を体験〜

参考記事:長濱蒸留所の見学レビュー|予約方法・テイスティング・ハンドフィル・限定ウイスキー・レストランまとめ

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まとめ:製造工程を知るともっと美味しくなる

モルティング → 糖化 → 発酵 → 蒸留 → 熟成 → ボトリング。
シンプルに見えるこの流れのなかに、蒸留所ごとのこだわりと職人の判断が詰まっています。
蒸留所見学では、実際にこれらの設備を目で見て、香りを感じることができます。
工程を頭に入れておくだけで、見学の解像度がぐっと上がるはずです。
実際に訪れた蒸留所のレポートも載せているので、ぜひご覧ください。

参考記事:スコットランドで見学ツアーのあるウィスキー蒸留所一覧[エリア別/50ヶ所]

参考記事:[まとめ]日本の見学できるウィスキー蒸留所[訪問レポ/現在10ヶ所]